10.12.2018



絵本『Sången från andra sidan havet』(Lilla Piratförlaget社)
(The song from the other side of the sea)


スウェーデンの絵本作家エマ・ヴィルケさんと一緒に作った絵本が刷りあがりました。

エマさんが書いた物語に、私がイラストレーションを描きました。
スウェーデン語のタイトル『Sången från andra sidan havet』(Lilla Piratförlaget社)
英語に訳すとThe song from the other side of the sea。
日本語に直訳すると、"海の向こうからの歌"ですが、まだ正式な邦題はありません。

エマさんから一緒に絵本を作りませんかと声をかけてもらったのが
2016年の夏の終わり。
スウェーデンの著者協会から日本の作家と一緒に本を作る企画に
助成金を得ることができたから、ぜひ一緒に作りましょう、というお誘いでした。
エマさんは来日、私もスウェーデンを訪ねて絵本作りの準備をする予定でしたが、
そんなお誘いをもらうと同時に、私の妊娠が発覚。
予定していたスウェーデン訪問の時期と出産予定日がぴったり重なり、
私の旅は見送りになりました。
エマさんの来日にあわせて、二人展を開いたり、
(エマさんは時には文章を書く人になり、時にはイラストレーターやアーティストにもなるのです)
ラフスケッチを見ながらあれこれ話し、
私の出産をはさんで、絵本作りはゆっくり進みました。

ピンク色の夕焼け空の下、海が見える丘をおばあさんのキツネがのぼり、
そこを小さな孫キツネが追いかけているシーンから始まります。
おばあさんキツネは丘の上で異国の言葉の歌を歌い、
孫キツネはその歌は何なのか尋ねます。
おばあさんキツネは若いころ、
海の向こうの知らない場所からやってきた時のことを孫に話し始めます...。

この物語は、一匹のキツネが故郷を猟師に襲われて逃げているうちに海を越え、
見知らぬ場所で新しい生活を築くお話です。
これは動物たちのお話ですが、
エマさんは難民の問題を絵本の裏テーマに掲げています。
難民の受け入れに積極的なスウェーデンでは、
絵本を読む子どもたちにもこの問題はとても身近。
絵本の中では、言葉や文化の壁を、
キツネは得意な音楽で乗り越えるのですが、
好きなこと、得意なことが新しい友達を作る手助けになることを教えてくれます。
難民に限らず、新しい環境に飛び込むすべての人の
背中を押してくれる物語に私はじーんとしながら絵を描きました。

そして、制作中には行けなかったスウェーデンに9月の下旬に行ってきました。
スウェーデン第二の都市ヨーテボリで開催されたブックフェアに合わせて。
夫と1歳の息子も引き連れて...。 これはまた後々、書きたいと思います。

私の初めての絵本の仕事はある日突然、贈り物のようにやってきました。
(エマさんと絵本の関係者の皆さまにはありがとうを言い尽くせない。)
絵本が出来上がる頃には私も母になっていて、
こどもとの生活がはじまると絵本への興味は増すばかり。
もっと小さな子向けの絵本や自分でお話からつくることなど、
やってみたいことがどんどん増えるのでした。

★ 絵本はスウェーデンで出版・販売されています。
これからそのほか海外版が出る予定がありますが、今のところ日本語版の出版は未定です。
日本語版も出せますように!





「北欧の景色と暮らし」カレンダー2019 KURASHI&Trips PUBLISHING

2018年にご好評いただいた「北欧、暮らしの道具店」のカレンダー
2019年版も発売されることになりました。
今年も昨年に引き続き、テーマは「北欧の景色と暮らし」。
9/18から「北欧、暮らしの道具店」オンラインショップ
販売が始まっています。

カレンダーの絵を描いていたのは、この秋スウェーデンを旅する前。
資料を見ながら描いた景色を、
後からリアルで体験するのはなんだか不思議な感覚でした。
スウェーデンの知人たちに見せるととてもよろこんでいて、
「スウェーデンにきたことなかったのにすごいスウェーデンだね」
「ふみはスウェーデンをいっぱい体験したから来年はもっと簡単に描けるね!」と笑っていました。
旅のことも後ほどここに少し書きたいと思います。

(写真:北欧、暮らしの道具店ウェブサイトより)